店舗物件の「二度の引渡し」とは

建物模型を持ち、店舗の引渡しについて考えるイメージ
店舗を開業するときには、「二度の引渡し」が行われます。一つ目は賃貸借契約を結んだ後の物件そのものの引渡し、二つ目は、店舗内・外装の施工後の引渡しです。それぞれに気を付けるべき点があります。

借りた店舗物件の引渡し時確認について

物件は、貸主と賃貸借契約を結んだ後に引き渡されます。まずはこのときの注意点を見ていきます。借りた物件が「居抜き」か「スケルトン」かで気を付けるべきことが違ってきます。

 

【居抜き物件の場合】

まず、引き渡されたときの物件の状態が契約内容通りかを確認します。具体的には、造作・設備機器・什器備品について、契約書に記載されたものが全てそろっているかを確認します。特に「造作譲渡費用」を支払っている場合は、対象物品は借主の所有物になるので、一つひとつ確実に見ていきましょう。

 

そのとき、設備機器の動作確認も行いましょう。内見時に一度見ていたとしても、必ず再度確認します。もしも不具合が見られたなら、至急貸主(または不動産仲介会社)に連絡して、対処について確認しましょう。

 

【スケルトン物件の場合】

躯体(くたい)だけの状態での引渡しが前提なので、そのようになっているかを確認します。残置物や余計な設備などが置かれていないかを見ましょう。何か残っている場合には、予定していた内装工事が始められないので、至急貸主側に連絡して撤去を依頼します。

 

契約内容によりますが、スケルトンでの引渡しが前提ならば、撤去手配・費用支払いは基本的に貸主負担となります。

 

【共通の注意事項】

水道(給水・排水)・電気・ガスが間違いなく使えることを確認しましょう。特に排水については、空き店舗だった時間が長ければ、排水口や排水管の詰まりが起きている可能性があります。もしも詰まりがあった場合には、高圧洗浄などで解消しなければなりません。費用については貸主との交渉が必要になりますから、早めに確認して相談しましょう。

 

電気・ガスについては、素人ではわからないので実際に内装工事会社に入ってもらってからの確認になる部分が多いですが、できる範囲で見ておきましょう。

 

また、退去時のことを考えて、引渡しの時の状態を確認する目を持つことも重要です。退去時に造作譲渡するにしても、内装を解体撤去するにしても、原状回復の状態とはどういうものかを貸主側とあらかじめ認識共有しておくことが、円滑な退去の助けとなります。写真やメモで記録しておけば、時間の経過による記憶の風化や認識齟齬が補完できます。

内装工事完了後の確認について

施工後の確認をチェックリストを使って行っているイメージ画像

店舗の内・外装工事が完了すれば、いよいよ開店準備だと気持ちははやると思います。でも、まずは施工状態を確認することが必要です。

 

店舗の施工が終わった後に行う確認作業を「完成検査」と言います。完成検査は発注者(=店舗借主)が独自に行うわけではなく、施工会社の工事責任者が立ち会って、工事内容を説明しながら確認していくものです。

 

確認は、設計図を見ながら一つひとつ細かく行います。依頼通りになっていない、不備・不具合があるという場合には、改修を求めます。疑問がある箇所は、そのまま流さずに必ず確認しましょう。主な確認項目を簡単に挙げておきます。

 

1.全体レイアウト

2.ドア・窓・収納など建具開閉部分の可動状態

3.天井・床・壁の建材・素材(法令による内装制限の適合製品か)

4.設備機器の動作確認

5.水道・電気・ガスおよび通信機器の使用状況

 

改修後の再検査を含めて、最終的に施工に問題がないことが確認できたら晴れて引渡しとなります。

その他注意点

引渡し時点では完成検査を行っていますから、施工品質に問題がない状態ではありますが、その後に不具合が見つかったり発生したりする可能性があります。そのときの対応や保証について、必ず事前に確認しておきましょう。サービス上保証制度がある場合は、口頭の確認だけでなく書面などの発行を求めましょう。

 

また、それぞれの引渡し時に行う確認作業は、一人の目では見落としや勘違いが起こり得ます。できる限り家族や従業員、すでに店舗経営をしている知人などに立ち会いをお願いして、複数の人の目で見ることをおすすめします。

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